Sunday, March 22, 2009

リラックスしている人達

スカッシュクラブに入り、新しい人達との出会いが始まった。スカッシュクラブはトロント郊外のベットタウンにあり、英語を母国語としない移民メンバーは私とこちらでPhDを取得した北京出身のカップルだけと思われる。

リラックスしているというのは、経済的にも精神的にも裕福というのか、余裕があるというか、ライフスタイルが確立しているというのか、ちょっと定かではない。

カナダに移住してかれこれ20年になろうとしている。その間、どちらかというと移民との交流の方が多かった。今も続くポーランド人との交流とかね。移民一世の生活は楽ではない。日本人であるということは、勤勉さが評判の経済大国(とりあえずね)からの移民ということで、ポーランド人と比較するとアドバンテージがあるかもしれない。ポーランド人を例にとると、みな自国でのキャリアを忘れ、次世代の子供達のために、生活の基礎を築くために職業を問わず働く。一方、クラブで会う人達は、悩みや苦労はそれなりにあるだろが、両親の世代には既に生活の基礎が築かれて入ると思われる。それに加え、みな弁護士だ会計士だ、エンジニアだとプロフェッショナルな仕事に従事している。スポーツが自分達の生活の一部にきちんと組み込まれていて、多分、子供の頃から、スポーツクラブに所属したり、積極的に課外活動に参加していたのではないかな、と想像する。要するにクラブメンバーは所得が中流の上ランクなのである。そうした意味では、クラブメンバーは一部の階層に集中する白人社会だ。

スカッシュした後、じゃ、コーヒーでも、、と足をのばし、おしゃべりに花が咲く。。最近気付いた事は、このおしゃべりがなんとも話題豊富でリラックスしていて楽しいのだ。そして、こんな話しばらくしていなかったな、、とふと思う。自分もカナダ移民としての生活が長くなり、カナダ事情を知り、自分の英語力も伸びたこともあるのだろう。

移民の人達との話題には政治的な事情を鑑みることが多々ある。彼らは歴史の一こまを実際に生きている人達。そしてクラブメンバーは、政治的関心は一応高いけれど、移民のそれとは異なり、大方は客観視し、メディアでその事情を知るという安穏とした時代に生きているのではないかな。そして、60年代の日本に生まれた自分もその中に入る。。でも、仕事が生活の中心であるという社会で育った自分は、まだまだリラックしている人達のカテゴリーに所属できそうもない。

メットオペラ:マダムバタフライ、ラソンナンブラ

気温が13度まで上がったかと思うと19日は雪。週末は風もなく穏やかで気温は6度。

3月はマダムバタフライに続き、ファンディエゴフロレースとナタリーデュセーのオペラ。

マダムバタフライは、日本人には耐えられないほど衣装がめちゃくちゃで、素晴らしいオペラにもかかわらず失望。かつらは折り紙張り合わせ、かんざしならぬ大型造花がドンと頭に。振袖風ドレス。蝶々婦人のママがなぜか角隠ししてる。蝶々夫人に求婚するやまうち(だったっけ)は、侍姿プラス山吹姿。あんたはいったいダレ???って感じ。なんでも、ディレクターの中国人の奥さんが衣装担当で、彼女のおじいさんは広東オペラに携わっていたということで、なるほどうなずける。広東オペラと北京オペラの違いは定かではないけれど、あの独特の色彩がそのまま使われていた。日本に行き、能や文楽も楽しんだというけれど、、、。友人の一人いわく、いまだかつてマダムバタフライで舞台衣装に満足したという日本人は聞いた事がないとのこと。NYには日本人が沢山いるのに、どうしてコンサルタントしてもらわないのだろうか。。との弁。もう一人の知り合いも同意見。衣装担当者は、自由な発想が求められるし、必ずしも日本の正統文化に習う必要はないけれど、ここまでめちゃくちゃだとねぇ。

昨日は、睡眠中に歩き回る習癖から婚約者との間にトラブルを発する、という他愛もない話のオペラ。でも、ペルー人のテナーフロレースが絶賛。声量、音域、ハイC、とけた違いのダイナミックさに予想通り感激(スクリーンに向かって拍手もした)。ナタリーも素晴らしいけれど、フローレスの声量に圧倒される感じ。本来舞台設定はスイスなんだけれど、ニュープロダクションということで、設定はマンハッタンのリハーサル場。これも、メットの前向きな取り組みなんでしょうけれど、成功とはいえないと思う。歌詩とマッチしていないのがあまりにも明らかで、違和感を感ぜずにいられない。カメラワークも珍しく雑で、胴体だけアップになったり。。ま、こんなこともありますかね。

ニューヨークの会場は、フロレースのテナーを聞きに来たと思われる観客でいつもより一杯だった。

今シーズン最後は5月で、新進のメゾソプラノ歌手の登場。宣伝で映し出されたけれど、素晴らしい!彼女のCDも手に入れたいと思ったほど。楽しみ!